本稿の執筆時点では、導入日時や詳細な手続きの方法などが示されていないが、公約通り、2006年の秋から冬にかけて導入されることになるだろう。
N総合研究所(NRI)では、2004年9月にweb上でアンケート調査を実施し、その中でMNPについての意向を尋ねてみた。
その結果は、「Aの独り勝ち」というものであった。
その後、各携帯電話事業者による顧客の囲い込みを狙った料金プランやスイッチングコストを高めるサービスが展開された。
そこで、NRIでは2005年8〜9月に、訪問留置法による「情報通信サービスに関するアンケート調査」を再び実施した。
まず、MNPについて触れずに、「今後2年の問に、いま使っている携帯電話事業者を変更する予定があるか」、予定がある人については「どの携帯電話事業者に変更するか」を聞いた。
その結果を、各携帯電話事業者の2005年9月末の契約数に当てはめ、流動を予測したものが図表1.1−6である。
Nはほぼプラスマイナスゼロ、Vの減少分だけ、Kが増加するという構図となった。
特にKは、先般吸収したTを加えるとシェアは30%に近づく。
Aの勢いは、いまだ持続しているといえる。
次に、この設問で「1年以内に携帯電話事業者を変更する予定がない」と回答したユーザーに対して、以下のようにMNPの利用可能性を尋ねた。
「およそ1年後に、携帯電話会社を変更しても、電話番号がそのまま引き継げる制度の導入が予定されています。
ただし、電話番号が引き継げること以外は、通常の会社変更と同様に、以下のような制約があります。
また、この制度を利用するためには、2000〜3000円程度の手数料がかかる予定です。
あなたは、上記の条件も踏まえた上で、現在ご利用になっている携帯電話会社を解約し、別の携帯電話会社に契約を変更したいと思いますか。
(○はひとつ)メールアドレス(○○○@nocomo.ne.jPなど)は、変わります2長期割引年間割引などは、引き継げません3家族割引を利用している場合、自分ひとりだけが携帯電話会社を変えた場合は、料金が高くなる可能性があります4ポイントは引き継げません5着メロ、着うたうルなどのコンテンツやゲームなどのアプリケーションは継続利用できません」その結果は意外なものであった。
MNPがあるなら携帯電話事業者をスイッチしようと回答した人は、ほとんどいなかったのである(各携帯電話事業者とも、プラスマイナス10万契約程度)。
この結果をどのように解釈すべきであろうか。
今回のアンケートでは、しつこいぐらいに電話番号以外はポータブルではない、ということを伝えた。
手数料の存在についても触れた。
しかし、これは現実にユーザーが直面することである。
現時点で1年以内に携帯電話事業者を変えたいという意思を持っていない人については、1年後にMNPが導入されようとも、それによってスイッチがうながされることはないのだろうか。
MNP導入後、携帯電話事業者間の流動性がどの程度高まるかは、結局ふたを開けてみなければわからない。
しかし、日本の市場特性を考えると、以下の理由で流動性が高まる可能性は十分にある。
まず、MNP導入の前後には、テレビ、新聞、雑誌など、マスコミにおいてMNPの特集が組まれ、国民の認知度や関心は大いに高まることが予想される。
これによって、「寝た子が起こされる」可能性がある。
また、我が国では特に都市部の大型家電量販店など、併売店の店頭で、店員やヘルパーのアドバイスによって、最終的に携帯電話事業者を決定するユーザーが少なくない。
初めから携帯電話事業者を決めているユーザーは、直接専売店に行く確率が高いからだ。
販売代理店や量販店にとって、MNPは「儲けどころ」であり、現場での過度な勧奨が行われることによって、単に機種変更をしようとして量販店に来店したユーザーが、MNPを利用してスイッチする、ということも十分考えられる。
これが加速するかどうかは、携帯電話事業者が販売代理店に対して「MNPインセンテイブ」をつけるかどうかにかかっている。
我が国でMNPが導入されるまで、1年を切った。
MNP導入の本来の目的は、電話番号を変えられないという理由だけで、その携帯電話事業者に縛られているユーザーを救うことであり、それ以上でも以下でもない。
携帯電話事業者間の過度な競争や、代理店、小売店の過度な勧奨によって、いたずらに市場の流動性が高まることはあってはならない。
かつての固定電話における不毛なマイライン競争を思い出してほしい。
そこでは、消費者利益の追求という名を借りて、ユーザーの付け替え合戦が行われたに過ぎない。
中長期的な視点で、消費者利益となるような、適度な競争が行われることを期待したい。
モバイルプラットフォーム市場は、モバイル決済市場の展開に牽引され、2010年度には2700億円の市場規模になる。
モバイル決済市場は、非接触ICカード搭載携帯電話の浸透が市場規模を押し上げるかたちとなる。
クレジットカードに代表される高額決済領域におけるモバイルでの利用は、市場に受け入れられない可能性もある。
市場規模予測モバイル電子認証市場は、緩やかな増加を続け2010年度では40億円規模となる。
依然、モバイル環境で堅牢なセキュリティが要求されるサービスは浸透していないが、クレジットカード機能のモバイルヘの実装が始まることで、モバイルでの高額決済が市場に定着し、モバイル電子認証が拡大する。
モバイル決済市場は、非接触ICカード機能を搭載した携帯電話市場が成長し、ここで扱われる電子マネー決済、クレジットカード決済での取り扱い手数料が2010年度には2700億円となる。
2004年までのモバイル決済市場は、携帯電話に配信される着メロ、壁紙、ここでのモバイルプラットフォーム市場とは、「第6章プラットフォーム市場」において定義された市場のうち、モバイル(携帯電話)環境で実現される部分を抽出している。
モバイルプラットフォーム市場は、モバイル決済市場、モバイル電子認証市場、それぞれの市場の積み上げとして定義している。
モバイル決済市場とは、携帯電話を利用して決済を行った場合の手数料の積算である。
また、モバイル電子認証市場とは、携帯電話の端末認証を行う際に発生する金額の積算としている。
JAvAアプリといったデジタルコンテンツヘの課金手数料によって構成されていた。
これらデジタルコンテンツの高度化にともないコンテンツ単価も引き上げられたが、それでも000円を超えるものは少ない。
このうちの10%程度がモバイル決済市場の要素となるが、当該市場は緩やかな成長期にあると思われる。
2005年には、非接触ICカード搭載携帯電話が高機能端末として標準になり、2005年末には1000万台程度が市場に流布している。
これは携帯電話市場の2割程度に相当し、非接触ICカード機能を消費者が当たり前のように利用する環境が整ってきた。
非接触ICカードに実装されるアプリケーションは、大別して以下の5つに分けられる。
電子マネー、クレジットカード。
交通系定期券、乗車券。
チケット、クーポン。
会員証、ポイントカード、社員証。
非接触ICカードを経由した各種情報配信。
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